歯科CTスキャン
CTスキャン検査は、今やインプラント手術において不可欠な検査です。しかし、CTスキャン装置は非常に高価なため、その導入率は、全国的には非常に低いのが実情です。CTスキャン検査をすれば、従来のレントゲンの2次元の画像検査で分からなかった部分を立体的に映し出すことが可能で、インプラント治療の安全性と精度を飛躍的に上げることで悲惨な失敗症例も防ぐことができます。日本オーラルクリニックが今導入している専門歯科CTスキャンは2台目で、以前の歪みが生じ鮮明さに欠けたアナログのI..I方式検出器から最新のフラットパネル方式に更新しています。この専門歯科CTスキャンの導入により、以前の歯科CTスキャンより鮮明度が格段に増し、最近多く導入されているコスト重視の低価格の検出器を用いた歯科CT装置とは次元の違う診断能力を発揮しています。また、インプラントシミュレーションソフトも使用可能になりました。さらに、医科のファンビームCTスキャンと比較して日本オーラルクリニックの専門歯科CTスキャンはその被曝量を1/20前後と大きく軽減しています。日本オーラルクリニックは、歯科CTスキャンの有効利用により、今までの歯科治療のパラダイムを大きく変換させることを使命の一つと考えています。
次に、当院での治療を示しながらCTスキャン検査の有用性をご説明いたします。
当院CTスキャンの3D表示
軟組織‧硬組織の3D動画 | 硬組織のみの3D動画 | 軟組織のみの3D動画 |
- 症例 <1>
- 下顎の左側第一大臼歯が欠損しています。この部位には下歯槽管と呼ばれる、血管神経束が骨の中を走行しており、損傷させると下唇の麻痺感が後遺することがあり、CTスキャンでよく精査して慎重にインプラントを埋め込む必要があります。治療に当たり、当院が導入しています朝日レントゲンのCTスキャン(アルファード)で撮影しました。このCTスキャンの駆動用のソフトは、危険な血管神経束の走行を黄色のラインで描出し、埋入予定部位の骨幅や骨高など距離計測してくれます。そのために、危険な解剖学的な部分を避けながら、インプラントの長さや太さをシミュレーションして、正確な位置に安全にインプラントを埋入することができました。
下顎管マーク | 距離計測 |
距離計測(画面) | インプラントシミュレーション |
インプラントシミュレーション動画 |
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下顎の左側第一大臼歯が欠損しています。 |
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シミュレーション通りにインプラントが埋入されました。 |
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インプラントの被せ物が入った状態です。自然な感じでお口の中で馴染んで見えます。 |
症例 <2>
上顎は残っている歯のほとんどが残根状態です。 |
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下顎は入れ歯を支える土手(顎堤)が無く、お茶を飲むと浮き上がってしまうそうです。 |
治療計画
上顎は残せる歯を利用しでブリッジとし、左右の大臼歯部の欠損は上顎洞に骨を移植(サイナスリフト)後インプラントを埋入してバーティカルストップを確保します。
下顎は、患者様から「すぐ噛めるようにして欲しい。」との希望でしたので、オトガイ孔間に4本のインプラントで即時負荷のインプラント治療(All on 4)の予定でしたが‥‥‥‥‥‥‥
さらに、シミュレーションソフトで
詳細な治療計画を作成します。
以上のシミュレーションの結果、オトガイ孔が歯槽頂近くにあることが判明し、両側遠心部の傾斜埋入をやめて埋入本数を4本から5本に増やして即時負荷を行いました。
術前のパノラマレントゲン写真像です。 |
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術後のパノラマレントゲン写真像です。 |
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インプラント埋入手術1時間後に装着された即時負荷用の暫間的補綴物です。 |
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最終治療後のパノラマレントゲン写真像です。 |
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最終治療後の口腔内写真像です。 |
症例 <3> 右側臼歯部(4本欠損)の欠損症例です。
手術前 | 手術後 |
右側臼歯部(4本欠損)の欠損症例です。前から2番目の埋入部位には下歯槽血管神経束の出口であるオトガイ孔が上方に来ていますので、少し短めのフィックスチャーをまた最後方部は、骨幅はあるものの下歯槽血管神経束からの骨高は少ないため短めでワイドなフィックスチャーを選択しました。
歯がありません。骨や歯肉も痩せています。 |
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そのままでは、インプラントのねじ山が露出した状態です。 |
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下顎の奥からブロックの骨を採取しました。 |
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採取したブロック骨と粉砕骨です。 |
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骨を母骨に貼り付けチタン製のねじでしっかり固定します。 |
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手術終了後のパノラマレントゲン写真像です。 |
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インプラント周囲に、角化歯肉がない部分に口蓋より採取して角化粘膜を移植します。 |
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最終補綴物が入った口腔内写真です。 |