All on 4~8
All on 4は、歯が全く無い無歯顎の方や歯があっても保存が難しい方に適した治療です。歯が1本もない状態のあごでも、条件がよければ4本のフィックスチャーをバランスよく埋め入れることで、即日仮歯が入り、1~3カ月後には最終補綴物として10~12本の固定式の人工歯を支えることができます。しかし、この方法は本来、長頭で顎の骨がしっかりした白人用に開発された治療法で、短頭で平板な顎骨の日本人には下顎では5本以上、上顎では8本以上フィックスチャーを埋入しないと長期に機能しません。確かに従来の方法と比較して、埋入本数が少ない分、身体への負担が軽減されるだけでなく、費用面の負担も軽くなりますが、だからといって安易に4本に固執すべきではありません。日本オーラルクリニックでは症例に応じて埋入本数を決定しています。いわば、All on 4~8です。
All on 4~8の治療の流れ
- 1.インプラントの埋入手術
フラップ法(歯肉をメスで切開する方法):歯肉に切開を加えて剥離し骨面を露出させ、あごの骨に適切な位置にドリリングして埋入窩(埋め込むインプラントと同じ長さ・太さの4つの穴)を形成します。4本のうち後方の2本は傾斜した埋入窩とします。
フラップレス法(パンチで歯肉に穴を空ける方法):歯肉の上から小さなドリルで穴を空け、パンチングして歯肉を切り取り、その歯肉の穴からドリリングして骨に穿孔して埋入窩を形成します。 - 2.インプラントを埋め入れる
4~8本のインプラントをそれぞれの埋入窩に埋め込み、アバットメントを装着します。歯肉をメスで切開した場合は、糸で歯肉を縫い合わせます。アバットメント上部が歯肉の上に出た状態で、外科処置は終了です。 - 3.仮歯を取りつける
外科手術後は、アバットメント上部にヒーリングキャップを装着し出血が落ち着くまで60分間ほど休憩してもらいます。その後仮の人工歯(10本の歯が並んだ人工歯)を取りつけて噛み合わせをチェックし、帰宅してもらいます。 - 4.結合期間(1~6カ月)
手術後、埋め込んだインプラントが骨と結合するまで安静期間を置きます。骨や身体の状態によって異なりますが、1~6カ月ほど待ちます。その後、型を採って最終補綴物(口の中で使い続ける人工歯)を製作します。 - 5.最終的な人工歯の取りつけ
仮歯から最終補綴物に替え、十分噛み合わせのチェックを行い、補綴物の適合が得られ安定したら、メンテナンスへ移行します。
All on 4~8のメリットとリスク
メリット
- 無歯顎の患者さんに最適
- 治療期間を短縮できる
- 1度の手術で多くの歯が入る
- 歯並びの改善・歯茎の回復も可能
- 通院回数が抑えられる
- 費用が抑えられる
- 体の負担が軽減できる
リスク
- 歯が残っている場合は治療できない
- 極端に顎の骨が痩せている場合は治療できない(骨の移植など骨造成が必要)
- 必要最小限のインプラント本数なので、1本でもインプラントが駄目になると、再度治療をやり直す必要がある
- あごの骨が脆弱な日本人には向かいない場合がある
- 4本のみで全体を支えようとする術式の場合、噛み合わせの力の負担を抑える都合上、第二大臼歯を並べることができず、人工歯の数が少なくなってしまう。
- 保険がきかない(自由診療)
- 手術が必要になる
- 治療期間がブリッジ等に比べ長い
- 術後はメンテナンスが必要になる
- 術後痛み・腫れが出る可能性がある